253 お似合いだ

「二人が一緒に立っているのを見ると、なかなか似合っているわね」

「そうよね。矢崎粟の前に来ると、小島一馬は不思議と大人しくなって、全然毒舌じゃなくなるの。これが恋愛ってものよ!」

「そうそう、うちの粟は誰からも愛される人だから、小島一馬に好かれるのも当然よ。残念なのは、今回は二人一緒にお金を稼げないことね……」

「今回、粟は誰とグループになるのかしら。そのグループの人たちはラッキーよね!」

コメントの流れは速く、配信前の視聴者たちは皆活発だった。

アシスタントが再び前に進み出て、ガラス箱から一枚を引き出し、カメラの前で開いた。「今回引いたのは澤兼弘さんです!」

そう言うと、皆は澤兼弘が壇上に上がるのを見守った。

彼は少し笑って、ガラス箱に手を入れ、ちょうど三枚の紙を掴んだ。「皆さんの時間を取らないように、直接三枚引きます。この三人が私のチームメイトになります」

ディレクターはそれを聞いて、問題ないと判断し、止めなかった。

このように三枚引くのも、なかなか面白く、新鮮な感じがした。

「次に、私のチームメンバーは:伊藤卓、岡田淳、そして田中凛です」澤兼弘は三枚の紙を開きながら発表した。

第二グループも編成が完了した。

残りの矢崎粟と矢野常、そして矢崎政氏の三人に、謎のゲストを加えて自動的に一つのチームが形成された。

この結果を見て、小島一馬は胸が痛んだ。

一方、矢野常と矢崎政氏は、思わず口元が緩んだ。

まさか矢崎粟が彼らと同じチームになるとは、本当に幸運だった。今日一番の嬉しい出来事だった。

しかし矢崎粟は終始冷静で、表情を変えることなく、ただ成り行きを静かに見守り、何も制止しようとはしなかった。

このようなグループ分けは、矢崎粟にとって全く意外ではなかった。

彼女の最大の助っ人である小島一馬は第一グループに、田中凛と澤兼弘は第二グループに配属された。

矢崎粟は元カレと仲の悪い兄と同じグループになり、この関係を考えただけで息が詰まりそうだった。

このくじ引きは、最初から矢崎粟に引く機会を与えていなかった。

背後の人物は周到に計算し尽くし、全てを計画していた。矢崎粟は何もせず、ただ背後の人物が何をしようとしているのかを見守ることにした。

案の定、矢崎粟の予想通りだった。