252 くじ引き

アシスタントは皆の前で、ガラスケースから一枚の紙を取り出した。

紙には「小島一馬」と書かれていた。

名前が発表されると、歓声が上がった。

小島一馬も隠さず、矢崎粟に向かってにこにこと言った。「粟、僕があなたを引けたらいいな。そうしたらまた一緒にお金を稼げるから」

これは最後の番組で、小島一馬はこの機会を逃さず、矢崎粟ともっと過ごしたいと思っていた。

矢崎粟は微笑んで「いいわよ、頑張ってね!」と言った。

そう言いながらも、矢崎粟は背後の人が小島一馬に自分を引かせないだろうと感じていた。

結局のところ、小島一馬がいれば、矢崎粟は助力を得られる。

もし背後の人に計画があるなら、それも実行しにくくなる。

案の定、小島一馬がステージに上がって紙を引いて開けてみると、そこには矢崎美緒の名前が書かれていた。

名前を見た小島一馬の顔は青ざめた。

アシスタントが近づいて紙の名前を読み上げた。「小島一馬さんは矢崎美緒さんを選びました。おめでとうございます、チームの結成です」

田中凛は驚いた表情を浮かべた。小島一馬の表情が悪いのも無理はない。

小島一馬は冷たい目で矢崎美緒を見つめ、配信を見ている人々にも彼の様子の違和感が伝わった。

彼は心の中で呪った。なんて運の悪い日だ。矢崎美緒を引いてしまうなんて、このバラエティはどうなってしまうんだ!

小島一馬は考えるまでもなく、矢崎美緒がバラエティで暴れまわることは確実で、チームメイトは最も影響を受ける立場になる。

アシスタントの言葉が終わると、矢崎美緒は喜色満面だった。

彼女はずっと小島一馬との距離を縮めたいと思っていた。できれば小島一馬に恋をさせたいとまで考えていた。今回チームメイトになったことで、これからもっと一緒に過ごす時間が増える。

矢崎美緒は自分の魅力を信じていた。今回のバラエティで、きっと彼を落とせるはずだ。

小島一馬は悲しそうな顔で矢崎粟を見た。「粟、今回は君を引けなかったけど、次は引けるかもしれない」

一チーム四人で、彼は一人引いた。まだ二つの枠が残っている。

まだ二回のチャンスがある。

矢崎粟は頷いて笑顔で言った。「いいわよ、私を引けたらいいね。続けて引いてみて!」

彼女は誰とチームを組むかはあまり気にしていなかったが、小島一馬が近くにいれば、きっと面白くなるだろう。