246 真っ向から対立

矢崎美緒と矢崎政氏を責めるべきなのだろうか?

しかし、当時は彼も矢崎粟を傷つけた一人で、しかも矢崎美緒をよく助けていた。今になって矢崎粟の味方をするのは、偽善的に見えてしまう。

矢崎粟は今とても強くなっていて、彼の庇護など必要としていない。

矢崎政氏は涙を浮かべ、心は苦しかった。

今や矢崎粟は謝罪さえ受け入れようとしない。これは矢崎家の者たちが矢崎粟を深く傷つけたことの証だった。

「もう二度と私に関わらないでください。それが私への最大の償いです。分かりましたか?」矢崎粟は冷たく言った。

その言葉は率直すぎて、人を傷つけるものだった。

しかしその場にいた誰も、矢崎粟がやり過ぎだとは思わなかった。むしろ矢崎粟は本当に優しすぎると感じた。

ただ矢崎家との関わりを持ちたくないだけだった。

矢崎政氏は力強くうなずき、涙をこらえながら言った。「それがお前の望みなら、そうするよ。できるだけ距離を置くようにする。」

そう言って、彼は一歩後ろに下がり、うつむいて考え込んだ。

その時、矢崎若菜は眉をひそめ、不思議そうに尋ねた。「矢崎粟、私たちは血のつながった家族なのに、どうしてそこまでこだわるの?過ぎたことは水に流して、前を向けないの?」

この言葉に、周りの人々は怒りの目を向けた。

「私は忘れません!こだわり続けます!それに何度も言っているでしょう。私は矢崎家との関係を絶ちました。あなたたちとは家族ではありません。それとも記憶力が悪いんですか?」矢崎粟は重々しく言った。

矢崎粟には矢崎若菜の考え方が理解できなかった。家族だからといって、好き勝手に彼女を傷つけていいというのか?

血のつながりがあるからといって、わだかまりを持つことも許されないのか?

なぜ彼女が許す側にならなければならないのか?

矢崎政氏は聞いていられなくなり、矢崎若菜の側に行って彼を引っ張り、諦めたように言った。「三兄さん、もういいです。この件は私たちが間違っていたんです。被害者は兄さんでも私でもない。他人の気持ちは分からないんです。」

矢崎若菜がまだそんな言葉を言えるということは、本当の反省をしていないということだ。