矢崎若菜も好奇心を抱き、矢崎粟が今回どうやってお金を稼ぐのか、自分たちのように運が悪いのかを見たがっていた。
同時に、彼女の失敗を見て楽しもうという気持ちもあった。
二人は荷物をまとめ、別の通りへと向かった。先ほどたくさんの人がこの通りに流れ込んでいたので、きっと賑やかなはずだ。
その時、配信ルームの視聴者たちは次々とコメントを送っていた。
【ふん、さっきまで小島若様の言うことを聞かなかったくせに、今じゃしょんぼりと荷物をまとめて逃げ出すんだ?】
【小島一馬さんは最初から芸で金は稼げないって言ってたのに、この二人は信じなかった。ざまあみろ!】
【この二人の恥ずかしさが伝わってくるわ。】
【これが強情を張った結果よ!】
【一日中ほとんど稼げなかったどころか、露店代まで損したなんて、笑っちゃうわ、あはははは。】
【矢崎粟を見てよ、開店早々から行列ができてるのに。この二人と比べたら、まさにピエロね。】
【最高!これぞ報いだ!小島様の言うことを聞かないからだ。】
【小島様のこういうところが好き。こういう作り物の女に容赦しないなんて、かっこよすぎ。】
配信ルームでは、小島一馬のファンたちが次々と嘲笑の言葉を投げかけ、矢崎美緒をボロクソに貶していた。
矢崎美緒のファンたちは一言も言い返せなかった。
結局、矢崎美緒はあまりにも無能で、琴を弾くのもダンスも中途半端。彼女のファンたちには強気に出る根拠すらなく、ただ罵倒されるばかりだった。
矢崎美緒と若菜がその通りに向かうと、整然と並んだ長い列が目に入った。誰も割り込もうとはしていなかった。
後方の露店の前には、大勢の人が集まっていた。
二人が近づいてみると、これらの人々は矢崎粟のメイクを待つ列で、周りに集まっている群衆は、イケメンの古風な美男子が笛を吹くのを聴いていた。
矢崎若菜は眉をひそめ、思わず口にした。「この人の笛、大したことないじゃない。美緒の琴と同じくらいのレベルよ。きっと顔目当てで来てるんでしょ。」
この言葉に、矢崎美緒も居心地が悪くなった。
彼女にも分かった。相手の笛の音は優雅で、実力は確かだった。
矢崎美緒は褒めるように言った。「矢崎粟は運がいいわね。この新しいゲストの実力は素晴らしくて、たくさんの人がメイクの列に並んでるわ。」