「お嬢さんは冗談を言っていますね。この銅銭は大したものではありません」男は続けて言った。「この銅銭は年長者から贈られたものですが、受け取ろうとした時に地面に落としてしまい、私とは縁がなかったのです」
「あなたたちの番組に参加することに決めました。お礼がしたいのなら、番組の中で私のことを気にかけてください。それが報酬になりますが、いかがでしょうか?」
男は扇子を広げ、数回あおいだ。
矢崎粟は頷いた。「それならば、これからの一週間、何か手伝いが必要な時は、私に声をかけてください」
相手がどう思おうと、彼女はそう受け入れた。
矢崎粟は銅銭を受け取り、持ち歩いている布袋に入れた。布袋の中には柔らかい布が入っており、銅銭が傷つくのを防ぐことができた。
続いて、矢崎粟は紹介した。「こちらのお二人は矢崎政氏と矢野常です。私は矢崎粟と申します。お名前をお聞かせいただけますか?」