矢崎粟はこの男性の装いを見て、ほぼ確信した。この一般人こそが今回の神秘的なゲストに違いないと。
視聴率のためにも、ディレクターは彼に番組への参加を勧めるはずだ。
矢崎粟は矢崎政氏に向かって言った。「彼に聞いてみて。私たちのバラエティ番組に参加したいかどうか。無理強いはしないでね」
矢崎政氏は頷いた。やっと矢崎粟の前で実力を見せられるチャンスが来たのだから、当然よい印象を残したかった。
矢崎政氏は前に進み出て、男性の肩を軽く叩いた。「こんにちは!」
古風な男性が振り向き、疑問に思った様子で矢崎政氏を一瞥した。「こんにちは、何かご用でしょうか?」
ライブ配信を見ている視聴者たちは、男性の正面の顔を見た。
やはり古風なイケメンだった!
とてもかっこよかった。
矢崎粟がそちらを見ると、玉のように整った顔立ちが目に入った。その優雅な雰囲気と相まって、断れない魅力があった。
矢崎政氏でさえ、この人がこんなにもかっこいいとは思わなかった。驚きながらも続けて言った。「今、私たちはバラエティ番組を撮影していて、手がかりを頼りに一般人のゲストを探しているんです。ちょうどあなたにお会いしたので、ゲストとして参加していただけないでしょうか?」
古風な男性は穏やかに微笑んで言った。「番組に出たことはないのですが、参加させていただいても大丈夫なのでしょうか?」
ライブ配信の視聴者たちは再び悲鳴を上げた。
男性の声は低く澄んでいて、清らかな泉のような質感があり、とても心地よかった。
「大丈夫ですよ。私たちについてきていただければいいだけです。難しいことは何もありません。ただ体験していただくだけです」と矢崎政氏は笑顔で答えた。
古風な男性は頷いて、「では少し考えさせていただいて、後ほど返事させていただきます」と言った。
「はい、結構です」と矢崎政氏は答えた。
その後、矢崎粟たち三人は骨董品店を一周し、番組スタッフが古風な男性と交渉を行った。
チーフディレクターはスタッフにメッセージを送り、なんとかしてこの男性を番組に参加させるよう指示した。
古風な男性の容姿があまりにも優れていたため、必ずより多くの視聴者を引きつけられるはずだった。
スタッフは番組のルールを説明し、過去の放送回のビデオクリップを見せた。