藤田川は確かに五級上品の実力を持ち、長年修行を積んできたため、見通せない相手に出会うことは極めて稀だった。
そして矢崎粟はその一人だった。
矢崎粟の周りには霧のようなものが漂っており、その本質を見通すことを困難にしていた。
おそらく矢崎粟の身に何か変事が起きたのだろう。それは天命によるものであり、彼のような玄学大師でも影響を及ぼすことはできないものだった。
「時間があれば、法術で勝負してみませんか?」矢崎粟は笑いながら提案した。
同時に、彼女は五級上品の実力が一体どれほど強いのかを確かめたかった。
「もちろんです。機会があればぜひ」藤田川は微笑んだ。
矢崎粟は非常に興味があった。背後の人物は一体どんな切り札を持っているのか、藤田川のような高手を動かせるとは。
彼女の認識では、五級上品に達した者はほとんど欲望や執着を持たないはずだった。