266 法術を切磋琢磨する

藤田川は確かに五級上品の実力を持ち、長年修行を積んできたため、見通せない相手に出会うことは極めて稀だった。

そして矢崎粟はその一人だった。

矢崎粟の周りには霧のようなものが漂っており、その本質を見通すことを困難にしていた。

おそらく矢崎粟の身に何か変事が起きたのだろう。それは天命によるものであり、彼のような玄学大師でも影響を及ぼすことはできないものだった。

「時間があれば、法術で勝負してみませんか?」矢崎粟は笑いながら提案した。

同時に、彼女は五級上品の実力が一体どれほど強いのかを確かめたかった。

「もちろんです。機会があればぜひ」藤田川は微笑んだ。

矢崎粟は非常に興味があった。背後の人物は一体どんな切り札を持っているのか、藤田川のような高手を動かせるとは。

彼女の認識では、五級上品に達した者はほとんど欲望や執着を持たないはずだった。

そうでなければ、五級まで修行できるはずがない。

では背後の人物はどうやって藤田川を動かしたのだろうか?

矢崎粟は更に尋ねた:「法術を学ばれたとのことですが、失礼ながら、師匠は誰なのでしょうか?話しづらければ、お答えいただかなくても結構です。」

前回、師伯が来訪した際に連絡先を交換していた。

師伯は矢崎粟に何人もの大師を紹介し、彼らはグループで法術について議論することが多かった。

もしかしたら藤田川の師匠を知っているかもしれない。

「それは特に隠すことではありません。私の師匠の法号は森村邦夫です。」藤田川は穏やかに微笑んで頷いた。

矢崎粟は一瞬驚いて、「えっ?あなたは師伯の弟子なんですか?」と尋ねた。

森村邦夫、それは師伯の法号だった。

彼は道家協会の副会長を務めており、道井という別の弟子もいた。前回会った大師兄のことだ。

矢崎粟は非常に驚いた。番組収録で師伯の別の弟子に出会うとは思わなかった。

しかし、目の前の人物が師伯の弟子だとすれば、藤田川と背後の人物との関係は一体どうなっているのだろうか?

事態はますます複雑になり、真相が見えにくくなってきた。

藤田川は少しも驚いた様子を見せず、「はい、師匠からあなたのことは聞いていました。バラエティ番組での活躍も知っています。この番組に参加したのも、実は師妹と知り合いたいと思ったからです。」