297 関係を断つ

小林美登里は思いもよらなかった。純粋だと思っていた娘が、裏では規則を守らない人間だったなんて。

写真や動画がなければ、小林美登里は絶対に信じなかっただろう。

しかし今や証拠は明白で、もはや信じないわけにはいかなかった。これほど多くの写真や動画は、合成である可能性などない。

小林美登里はすぐに矢崎正宗に電話をかけた。すぐに電話がつながった。

彼女は言った。「海外に行きたいの。もう国内にいたくないわ。今はネット上で散々叩かれているから、早く航空券を手配して。」

今すぐ出なければ、うんざりして死にそうだった。

矢崎正宗の方も、状況は良くなかった。

投稿が公開されて以来、彼の電話は鳴りっぱなしで、何年も前の友人たちまでもが問い合わせてきた。

多くのメディアも訪れ、矢崎正宗にインタビューを求めてきた。

多くの人が矢崎正宗にメッセージを送り、矢崎美緒と寝たことがあるのかと、不快な言葉で尋ねてきた。

矢崎家は上も下も腐っているに違いない、父親の悪影響だと言われた。

養女に手を出すなんて、あり得るはずがない。

長年、彼は仕事に真面目に取り組み、小林美登里との関係も良好で、外に女性もいなかった。

今や糞を頭から被せられたようなものだった。

矢崎美緒をもうここに置いておくわけにはいかない。

矢崎正宗は密かに決意した。しばらくしたら矢崎美緒との関係を断ち切り、直接海外に送り出すことにしよう。

古風な衣装店。

矢崎美緒はまた一人の男性客を見送り、にこやかに「また来てください」と言った。

今日の売り上げは悪くなかった。彼女が喜んでいると、店の外に群衆が集まっているのが目に入った。その人々は彼女を見ながら、何かをひそひそと話し合い、嘲笑うような目で見ていた。

矢崎美緒は不吉な予感がし、運気がまた少し失われていくのを感じた。

また何か起きたのだろうか?

矢崎美緒はその場に立ち尽くし、体が痒くなり、何とも言えない不快感を覚えた。

店長に一言告げて、トイレに駆け込んだ。

トイレの鏡を見ると、体中に鳥肌が立っているのが分かった。見た目が最悪だった。

幸い服で隠れていたから、配信の視聴者には見えなかった。

次に、矢崎美緒は自分の顔を見た。

顔は外出時よりも一段と黄ばみ、黒ずんでいて、とても具合が悪そうに見えた。