矢崎若菜は店長のところへ行き、矢崎美緒が病気になったことを伝え、早退したいと申し出て、店長に助けを求めた。
店長は彼女を一瞥し、矢崎美緒がもう店にいられなくなったことを理解していた。病気は演技で、ただホテルに早く戻りたいだけだと分かっていた。
店長は同意した。もともと店で矢崎美緒を見るのが煩わしかったので、彼女が去るのはむしろ良いことだった。
店長は二人の給料を精算した。
半日の給料は150元で、さまざまな手当を加えると、矢崎美緒一人で500元になった。
矢崎若菜も悪くなく、200元を受け取った。
二人はお金を受け取ると服飾店を後にした。
矢崎若菜がネット上の情報を知ることを避けるため、矢崎美緒は矢崎若菜にずっとくっついていた。ホテルの部屋に戻ってようやく安堵の息をつき、やっと休めると思った。
矢崎粟のグループについて。
昨日の露店が終わった後も、多くのファンの女の子たちが列に並べなかった。
来るのが遅すぎて、矢崎粟はもう片付けていた。
そこでこれらのファンたちは番組スタッフに連絡先を残し、矢崎粟が翌日また露店を出すなら、必ず連絡してほしいと集団で要請した。
ファンリストには数百人もの名前があった。
矢崎粟は状況を理解し、ファンへの恩返しとして、もう一度メイクの露店を出すことを決め、ディレクターチームにファンたちへの連絡を依頼した。
ファンたちは連絡を受けると非常に感動し、揃って露店の前に来て、整然と列を作った。
今日も他の三人は客引きを担当した。
藤田大師が古琴で一曲弾くと、熱烈な拍手が起こり、露店の前にはさらに多くの人が集まった。
矢野常は演奏を聴き終わると、敗北を認め、古琴を弾くことを諦めた。
彼が弾けば、それは恥をさらすだけだった。
藤田大師は再び笛を吹き、その音色は空に漂い、近くの人々を引き寄せた。
一曲が終わると、観光客たちはまるで夢から覚めたかのように我に返った。
露店を始めてわずか30分で、店の前の列はすでにとても長くなっていた。
矢野常も矢崎政氏の隣に立って客引きを手伝っていたが、今では彼らが人を呼び込む必要はなく、ファンたちが群がるように列を作っていた。
矢崎政氏は心中で諦めていた。