矢崎若菜は気まずそうに立ち去り、冷笑いを浮かべながら言った。「売らないなら売らなくていいわ、ふん。」
相手が売りたくないなら仕方がない。矢崎粟を怒らせてしまったせいで、周りの人々にも嫌われているのだから。
一行は歩き続け、露店を見て回った。
矢崎粟は吉祥の気が漂うブレスレットと、凶気の濃い玉の皿を手に入れた。
これから法術を行う時、この二つを組み合わせれば、より強い効果が得られるはずだ。
成功率も上がるはずだ!
他の人々も矢崎粟に目利きを頼み、それぞれ良い骨董品を一つ二つ見つけることができた。
澤兼弘の持っている骨董品ほど吉祥の気は濃くないものの、邪気を払い、小人を防ぐ効果はある。
全体的に、収穫は多かった。
矢崎若菜はその様子を見て、心中穢しかった。自分は矢崎粟の実の兄なのに、彼女は自分のために一つも選んでくれなかった。
彼は矢崎政氏の側に寄り、小声で言った。「四弟、お前が矢崎粟に頼んで何か買ってもらったら?これらは色々と役に立つぞ。」
このチャンスはすぐに消えてしまう。今のうちだ。
矢崎政氏は顔を曇らせ、冷たい声で言った。「俺はお前みたいじゃない。自分のことはわかってる。矢崎粟が俺のために見てくれるはずがない。」
考えるまでもなく、矢崎粟は絶対に手伝ってくれないだろう。
矢崎若菜のこの言葉は、明らかに自分を利用しようとしているのだ。矢崎粟が見つけた骨董品が欲しいだけなのだ。
「骨董品が欲しいなら、自分で粟に頼めばいい。俺を利用するな。」矢崎政氏は怒りを込めて言った。
矢崎若菜は矢崎美緒と長く付き合いすぎて、策略家になってしまった!
矢崎若菜は首を振り、諦めたように口を開いた。「行きたいのはやまやまだが、矢崎粟は絶対に相手にしてくれないだろう。怒鳴られるのが関の山だ!」
まるで矢崎政氏が行っても怒鳴られないかのような言い方だった。
矢崎政氏「……」
三番目の兄を罵りたい気持ちを抑え、アドバイスを送った。「三兄、藤田大師に頼んでみたらどうだ?彼なら親切に骨董品を探してくれるかもしれない。」
矢崎政氏は三番目の兄にうんざりしていたので、このアドバイスを送った。
矢崎若菜は聞くなり目を輝かせた。「なんでそれに気づかなかったんだ?今すぐ彼に会いに行こう。」
そう言うと、矢崎若菜は小走りで藤田川の傍に寄った。