286 自分を知る賢さ

矢崎若菜は気まずそうに立ち去り、冷笑いを浮かべながら言った。「売らないなら売らなくていいわ、ふん。」

相手が売りたくないなら仕方がない。矢崎粟を怒らせてしまったせいで、周りの人々にも嫌われているのだから。

一行は歩き続け、露店を見て回った。

矢崎粟は吉祥の気が漂うブレスレットと、凶気の濃い玉の皿を手に入れた。

これから法術を行う時、この二つを組み合わせれば、より強い効果が得られるはずだ。

成功率も上がるはずだ!

他の人々も矢崎粟に目利きを頼み、それぞれ良い骨董品を一つ二つ見つけることができた。

澤兼弘の持っている骨董品ほど吉祥の気は濃くないものの、邪気を払い、小人を防ぐ効果はある。

全体的に、収穫は多かった。

矢崎若菜はその様子を見て、心中穢しかった。自分は矢崎粟の実の兄なのに、彼女は自分のために一つも選んでくれなかった。