287 符紙を観る

その時、矢崎粟は既に隊列の最前列を歩いていた。

通りの突き当たりは閑散としており、壁には符紙が掛けられていた。

これらの符紙はガラスケースに収められ、展示品として飾られていた。

白髪混じりの老人が、小さな椅子に座り、これらの符紙が盗まれないよう見張っていた。

これらの符紙は、一枚で数千万の価値があった。

多くの人々が評判を聞きつけて訪れ、符紙を観察して自身の実力を高めようとしていた。

矢崎粟は符紙の前で立ち止まり、熱心に観察した。

符紙の模様は古典的で、独特の風情を帯びており、見る者の心を魅了するような感覚があった。

符紙を描いた人物の実力は相当なものだった。

老人は微笑んで尋ねた。「お嬢さん、この符紙はどうですか?出来栄えはいかがでしょう?」

矢崎粟は頷いて答えた。「上級の作品です。じっくりと観察する価値があります。」

それぞれの符紙には異なる模様が描かれ、一本一本の線の太さが均一で、功力が均等に行き渡っており、確かに並々ならぬものだった。

老人は誇らしげに言った。「当然です。藤田大師の符紙は夜市で最高の出来栄えで、多くの人がただ一目見るためだけにここを訪れるのです。」

「これは藤田大師が描いたものなのですか?」矢崎粟は驚いて言った。

老人は頷き、続けて言った。「そうです。藤田大師の符紙は半年に一度の展示で、お嬢さんは縁のある人なのでしょう。よく見れば、玄学の実力を高めることができますよ。」

矢崎粟は一歩近づき、詳しく見て言った。「これらの符紙は全て黄ばんでいますね。描かれてからかなり時間が経っているように見えます。数十年は経っているでしょうか。」

これが最も不思議な点だった。

藤田大師は二十歳そこそこの若さなのに、これらの符紙は数十年前に描かれたように見える。これは矛盾していた。

「これらは全て藤田大師が随分前に描いた作品です。数十年寝かせた符紙を使っているので、古びて見えるのです。」と老人は説明した。

矢崎粟は頷いた。「なるほど、そういうことでしたか。」

そう言われれば納得がいく。

老人の説明がなければ、藤田大師の年齢を疑っていたかもしれない。

矢崎粟は更に数歩進み、別の符紙を見つめ、その模様を丹念に観察し、目を閉じて悟りを得ようとした。

彼女は玄妙な境地に入った。