「三兄さん、私を信じて。私は本当に玉仏に問題があるなんて知らなかったの。私は冤罪よ」矢崎美緒は必死に説明し、無実の表情を浮かべた。
彼女は絶対に国の機関の調査を受けるわけにはいかなかった。調査を受けた後、たとえ彼女の弱みが見つからなくても、彼女のキャリアに大きな影響を及ぼすことは間違いなかった。
矢崎粟は腕を組んで、興味深そうに尋ねた。「何も知らないのなら、どうやって呪文を使って運気を奪えたの?玉仏の中に若菜の生年月日を入れたのも、あなたじゃないの?」
矢崎美緒の嘘はあまりにも稚拙で、矢崎若菜が彼女を庇う気がない限り、誰も彼女の言葉を信じないだろう。
矢崎美緒は矢崎粟を睨みつけ、冷たい口調で言った。「これは私たち家族の問題よ。部外者のあなたが口を出す権利なんてないわ。余計なお世話はやめなさい」
この憎らしい矢崎粟、普段は矢崎若菜のことを一番嫌っているくせに、なぜ今になって若菜のことに首を突っ込んでくるの?
矢崎粟さえいなければ、彼女の計画がバレることもなかったのに。
矢崎粟は眉を上げた。
彼女が何か言おうとした時、矢崎若菜が先に口を開いた。「美緒さん、粟こそが私の本当の妹で、あなたこそが部外者よ。もう二度とあなたの言葉は信じない!私をバカだと思って、そんな下手な嘘を信じると思ったの?」
彼は認めた。以前は確かに矢崎美緒に対して優しすぎた。そのため無条件に彼女を信じ、彼女の嘘さえも疑うことなく信じていた。
しかし今は、目が覚めた。
矢崎美緒に運気を奪う意図がなければ、運気が彼女に移ることなどありえなかった。
今でも、矢崎美緒は彼を弄んでいる。
もし彼がまた矢崎美緒を信じるなら、それはもはや愚かとは言えない。それは救いようがないということだ。
矢崎若菜がさらに何か言おうとした時、病室のドアが開く音が聞こえた。
来たのは矢崎おじい様の矢崎昌氏と夏目蓮だった。
二人の老人は末娘の矢崎覚美に支えられ、後ろには大勢のボディーガードが控えていて、威厳に満ちた様子だった。
三人が入ってくるのを見て、矢崎美緒は表情を変え、後ろに一歩下がって、二人の老人と目を合わせる勇気もなかった。
彼女は実子ではないので、二人の老人は常に彼女に対して素っ気ない態度を取っていた。