314 矢崎美緒の災いを防ぐ

短い3分間の後、試合は再開された。

矢崎粟と田中凛は一頭の馬に乗り、二人は息の合った連携を見せ、一人が馬を操り、もう一人が弓を射った。

時には藤田川と小島一馬と協力することもあった。

二人が相手を阻止する役目を担い、矢崎粟と田中凛が同時に矢を放って、的の最高得点を獲得した。

緊密な連携の下、矢崎粟のチームの得点は常に高かった。

矢崎美緒のチームを10点ほど引き離し、差をつけていた。

矢崎粟と田中凛は矢崎美緒に積極的に挑むことはせず、通常通りに試合を進め、ルールも守っていた。

彼女たちは矢崎美緒が我慢できずに自分から仕掛けてくることをよく知っていた。防御さえしっかりしていれば良かった。

矢崎美緒も二人を常に見張っており、チャンスを狙っていたが、適切な機会を見つけられずにいた。

すぐに前半戦が終了し、15分間の休憩時間となった。

矢崎粟の6人は再び集まり、先ほどの成績を振り返り、後半戦の戦略を立てた。

6人は依然として自信に満ち、活気に溢れていた。

矢崎美緒は得点差を不満げに見つめ、心の中で激しい怒りを感じていた。

彼女は矢崎若菜の元へ行き、目を潤ませながら言った。「お兄さん、私、本当に勝ちたいの。一緒に頑張りましょう。優勝して帰れば、きっとパパとママも喜んでくれるわ」

矢崎美緒は気づいていた。矢崎若菜は矢崎粟と対峙するたびに、身動きが取れなくなり、やりづらそうにしていることを。

何度も得点できるチャンスがあったのに、相手に点を譲っていた。

矢崎美緒は矢崎若菜に情けをかけてほしくなかった。彼女の側に立つことを選んだのなら、もう矢崎粟を憐れむべきではなかった。

矢崎若菜は心配そうに頷いた。「美緒、悲しまないで。後半は必ず頑張るから」

後半戦が始まるとすぐに、矢崎若菜は矢崎美緒の後ろにぴったりとつき、他の選手の馬から彼女を守った。

まるで矢崎美緒の専属護衛のようだった。

この光景を見て、矢崎粟は首を振り、諦めたように言った。「誰かが不運に見舞われそうね。止めようがないわ」

彼女は矢崎若菜のネックレスに目を向けた。そのネックレスの輝きは薄れ、効果を失いかけていた。

矢崎若菜の運気が一筋一筋と矢崎美緒へと流れ、彼女の体内に吸収されていった。