313 不運の始まり

主催者は少し考えて、矢崎粟の要求を承諾した。

三分間の休憩時間に、矢崎美緒は馬から降り、体をリラックスさせようとした。

矢崎若菜も水を飲みに降りようとした。

しかし意外なことに、矢崎若菜は馬から降りる際に足を滑らせ、鐙を踏み外してしまった。

彼は馬から転落し、何度も悲鳴を上げた。

この騒ぎは瞬く間に周りの人々の注目を集め、現場の医師も急いで救急箱を持って駆けつけた。

矢崎若菜は地面に横たわり、体中がバラバラになったかのようだった。

すぐに医師に起こされ、怪我の具合を診てもらったが、幸い骨折はなく、体に打撲があるだけだった。

矢崎美緒が近寄って、心配そうに尋ねた。「三兄さん、大丈夫?もう競技を辞退して休んだ方がいいんじゃない?」

この言葉で、彼女は矢崎若菜がまだ競技に参加する意思があるかどうかを探ろうとしていた。