371 絶情蛊

小林美登里は慌てふためいた。

彼女は手を振って言った。「まさか?彼女は法術なんてできないし、この髪の毛を持っていても何の意味もないでしょう?あなたの推測は間違っています!」

彼女は認めるわけにはいかなかった。

もし認めてしまえば、家族は誰も自分の味方をしてくれないだろうし、矢崎正宗さえも非難するかもしれない。

小林美登里の反応は矢崎粟の推測を完全に裏付けた。

矢崎粟は問いただした。「状況がどうなのか、あなたは分かっているはずです。でも一つ聞きたい。私はあなたと血のつながりがあるのに、なぜ矢野夫人の味方をして実の娘を攻撃するの?なぜ私を害そうとするの?」

髪の毛と血液は、玄学師にとって非常に重要なものだ。

どちらか一つでも手に入れれば、多くの邪悪な法術を使うことができる。

小林美登里が彼女の髪の毛を取ろうとしたということは、小林美登里が矢野夫人と手を組み、実の娘を害するために矢野夫人を手伝うことを選んだということを証明している。

小林美登里のこのような行動は、矢崎粟には理解できなかった。

たとえ関係を絶っていても、彼女と小林美登里には血のつながりがある。なぜこれほど情け容赦ないのか?

小林美登里は認めたくなかったし、もう一度言い訳をしてごまかそうとした。

しかし矢崎粟の全てを見通すような目を見て、小林美登里は思わず真実を話し出した。「そうよ、この髪の毛は確かに矢野夫人に頼まれて取ったの。でも悪意はないし、あなたを害するつもりもなかったわ。」

「矢野夫人が言うには、あなたは絶情蛊という蛊にかかっているそうよ。だからこんなに冷酷無情になって、肉親も認めなくなったの。矢野夫人は、あなたの髪の毛を一本取れば、絶情蛊を解くことができると言ったわ。」

彼女は矢崎粟が以前の姿に戻ることを願っていた。

関係を絶つ前の矢崎粟は、なんて思いやりがあって、家族のことを考えてくれていたことか。

矢崎粟の目はますます冷たくなっていった。

小林美登里はさらに説明した。「私には悪意はないの。ただあなたを普通に戻したいだけよ。今のこの冷たい矢崎粟は、私の娘じゃない。」

娘を普通に戻したいだけなのに、それが何か悪いことなのか?

絶情蛊にかかっていなければ、矢崎粟がこんなに情け容赦なくなるはずがない。小林美登里は矢野夫人のこの説明を固く信じていた。