観光が終わった後、4人は他のグループと一緒に夕食を食べる約束をした。
夕食を済ませ、今日の生配信は終了した。
矢崎粟がホテルに戻り、エレベーターを出たところで、無表情で大股で歩いてくる小林美登里を見かけた。
矢崎粟は大股で通り過ぎ、相手にしないつもりだった。
小林美登里は矢崎粟が人を無視するような態度を見て、さらに腹が立った。自分は彼女の実の母親なのに。
怒りを込めて言った。「矢崎粟、どういうつもり?私を見て見ぬふりをするの?」
矢崎粟は冷笑して言った。「とっくに絶縁したはずだけど。私には母親なんていないわ」
小林美登里は怒りを抑えて言った。「私のことを認めないのは構わないけど、罪のない人を巻き込む必要はないでしょう。澤家のことを暴露したのはあなたでしょう?」
彼女が今日来たのは、澤蘭子のために抗議するためだった。
昨夜、澤蘭子から電話があり、掲示板の内容は全て矢崎粟が投稿したもので、澤家は何もしていない、全てデマだと言っていた。
澤蘭子は小林美登里に懇願し、矢崎粟を説得して、自分に嫌がらせをするのを止めるよう頼んでいた。
これを聞いて、小林美登里は矢崎粟のやり方が度を越していると感じた。
単に澤蘭子の甥が少し間違いを犯しただけなのに、なぜ澤家の者全員を巻き込むのか?
矢崎粟は執拗に、ネット上で虚偽の情報を流して、澤家の名誉を傷つけている。
矢崎粟は腕を組んで言った。「私は番組の撮影中で、携帯は制作側に預けられていて、外部との連絡手段はないのよ。どうやって澤家に報復したというの?話す前に少は頭を使ってよ!」
矢崎粟は気づいた。小林美登里の顔つきはますます意地悪そうになり、持っている福運もどんどん少なくなっていた。
小林美登里の幸運は、もうすぐ尽きようとしていた。
矢崎粟は小林美登里の目に恨みを見た。澤蘭子のために抗議に来たのは、実は自分の心の中の怨みを晴らしたかったからだ。
矢崎粟が自分のことを馬鹿だと言ったのを聞いて、澤蘭子は眉をひそめた。「私を母親として認めないにしても、目上の人にそんな口の利き方をするものじゃないわ。本当に躾がなってない!」
こんな粗野な娘を持つなんて。
矢崎粟は言った。「目上の人を尊重するのは、その人が尊重に値するかどうかによるわ。あなたは値しないと思うけど」