352 縁は尽きず

残念ながら、彼は両耳が完全に聞こえなくなり、補聴器に頼って外の音を聞くしかなくなった。

聴力のせいで、彼はとても引け目を感じていた。それが女性にアプローチできなかった理由でもあった。

幸いにも二人は再会を果たした。

今、男性は古城で玉印の篆刻店を営んでおり、商売は順調で自活できている。

二人の心にはまだお互いへの思いが残っていたので、もう一度一緒になることを決めた。

二人は矢崎粟の前に立ち、深々と頭を下げて感謝の意を示した。

周りの見物人たちも感動し、次々と拍手を送った。

別れ際に、女性は矢崎粟に尋ねた。「粟、もし今日私が占いに来なかったら、この先彼に会えたでしょうか?」

矢崎粟は頷いて答えた。「また会えたはずです。でもそれは8年後のことになっていました。もし私に会わなければ、今日あなたは中華街を去っていたでしょう。」