352 縁は尽きず

残念ながら、彼は両耳が完全に聞こえなくなり、補聴器に頼って外の音を聞くしかなくなった。

聴力のせいで、彼はとても引け目を感じていた。それが女性にアプローチできなかった理由でもあった。

幸いにも二人は再会を果たした。

今、男性は古城で玉印の篆刻店を営んでおり、商売は順調で自活できている。

二人の心にはまだお互いへの思いが残っていたので、もう一度一緒になることを決めた。

二人は矢崎粟の前に立ち、深々と頭を下げて感謝の意を示した。

周りの見物人たちも感動し、次々と拍手を送った。

別れ際に、女性は矢崎粟に尋ねた。「粟、もし今日私が占いに来なかったら、この先彼に会えたでしょうか?」

矢崎粟は頷いて答えた。「また会えたはずです。でもそれは8年後のことになっていました。もし私に会わなければ、今日あなたは中華街を去っていたでしょう。」

女性は口を押さえ、涙が溢れそうになった。

彼女は男性と別れて8年、そしてまた8年待たなければ再会できなかった。合わせて16年もの歳月だ。

二人は再び矢崎粟に向かって深々と一礼し、その場を去った。

すぐに、矢崎粟の屋台の前には長い列ができた。

1時間後、嘲笑を浮かべた二人の男が近づいてきて、列を眺めながら冷ややかに笑った。

彼らは矢野夫人の甥が連れてきた者たちだった。

30分後、ようやく二人の番が回ってきた。

カメラが回っていなければ、彼らはこんな面倒な列に並ぶことなどしなかっただろう。

矢崎粟は二人の相を見て、口元をわずかに歪め、「お二人は占いですか?」と声をかけた。

傷跡のある坊主頭の男が前に出て、冷たい声で言った。「俺はお前らみたいなペテン師なんか信じないぞ。お前らの詐欺の手口を暴きに来たんだ。怖くなったなら、今すぐ店じまいしろよ。」

もう一人の三角眼の男も口を開いた。「後でバレたときは、屋台をぶっ壊されても文句言うなよ。」

矢崎政氏と矢野常は目を合わせた。

トラブルメーカーが来たな!

配信では一部の視聴者が矢崎粟の占いは本物ではないと信じておらず、占いに来た人々は全て矢崎粟がお金を払って雇った人だと考えていた。

【そうだよ、私も信じない。】

【もともと嘘だろ、みんな楽しむだけにしておけよ、マジに信じちゃダメだぞ。】