矢崎粟は「矢崎美緒が君たちを寄越したんだろう?」と言った。
利木健史は心の中で感服し、もはや隠し通すことはできなかった。
彼は数日前に矢崎美緒と出会った時のことをすべて話し、矢崎美緒が彼らに二千万の報酬を約束し、彼女の髪の毛と血液と交換する話もした。
利木健史は、矢崎粟が並の人間ではないと確信していた。
彼女は何でも知っていて、玄門術法まで使える。まさに半仙と呼べる存在だった。
矢崎粟は少し考えてから、「彼女がそこまで私を害そうとするなら、あなたたちが私にしようとしていたことを、全部矢崎美緒にぶつけなさい」と言った。
彼女を害そうとする者には、その代償を払わせる。
矢崎粟は指を鳴らし、利木健史一人の行動制限を解除した。
利木健史は何度も頷き、怒りを顔に浮かべながら「矢崎さん、ご安心ください。必ず彼女を生かさず殺さずにしてやります。あの女は最低です。私たち兄弟を危険な目に遭わせやがって!」