413 標的を変更

呪術王は「人を変えるのか?」と言った。

人を変えることについては、彼の方は特に問題はないが、そう簡単に澤蘭子に操られたくはなかった。

澤蘭子は冷たい声で言った。「そうよ、もう矢崎粟を狙う必要はないわ。今度は矢崎粟の母親、小林美登里を狙ってほしいの。彼女は普通の人間で、とても愚かだから、簡単に対処できるわ」

呪術王は少し考えた。

矢崎粟は玄学師で、彼女を対処するのは簡単ではない。

しかし、普通の女性を対処するなら、それは簡単で、任務もより早く完了できる。

彼にとっても、それは良いことだった。

しかし、そう簡単に承諾するわけにはいかない。呪術王は暫く考え込んでから、低い声で言った。「人を変えるのは構わないが、追加料金が必要だ。三千万が欲しい」

澤蘭子は小林美登里の得意げな様子を思い出し、怒りが理性を超えて「いいわ、後で送るわ。でも、今度は必ず成功させてよ。失敗したら、お金を返してもらうわよ」

「問題ない」呪術王は答えた。

澤蘭子は痛々しい思いで、さらに三千万を送金した。

これは彼女が支払える残りの金額で、手元にはもうあまり残っていなかったが、復讐のためには仕方なかった。

一方。

矢野寿は仕事を処理していると、秘書がドアをノックして入ってきた。

秘書は「矢野社長、奥様がまた先ほどのアカウントに三千万を送金しました」と言った。

この言葉を聞いて、矢野寿は即座に顔を上げ、鋭い目つきになった。

彼は「分かった。他に何かあるか?」と言った。

秘書は少し躊躇してから「もう一つ、奥様に関することがあります。彼女の配下のマーケティングアカウントが話題になっています。アカウントが矢崎夫人の暴力シーンの動画を投稿し、今ネットユーザーたちが盛んに議論しています。この件に介入する必要はありますか?」

「矢崎夫人の暴力シーンの動画?」矢野寿は眉をひそめ、疑問に思った。

暴力シーンの動画が公開されたのなら、なぜ澤蘭子のことには触れていないのか?

秘書は携帯を取り出し、動画を再生して矢野寿に見せた。

矢野寿は携帯を手に取り、眉をひそめながら見ていると、おかしな点に気付いた。

この動画では、なんと澤蘭子の部分が全て加工されており、矢崎夫人の顔だけが露出していて、矢崎夫人があたかも凶暴であるかのように見えた。