車の中で、矢崎粟は藤田川と話をしていた。
彼女は矢崎正宗に一瞥もくれず、それが矢崎正宗の心を痛めた。
以前、家にいた時、矢崎粟はとても素直で思いやりがあった。こんなに良い子が、矢崎家によって失われてしまったのだ。
しばらくして、三人は病室に着いた。
入室後、矢崎正宗は車の荷物を全て運び込むよう指示した。
矢崎政氏も病室にいて、矢崎粟が来たのを見て、顔に喜びが溢れた。
矢崎若菜は藤田川が本当に来てくれたことに、心が激しく動揺した。
ついに不運から抜け出せる!
全ての準備が整った後、藤田川は病室のドアを内側から施錠させた。
そして、荷物の山から木材を取り出した。
彼が手を振ると、柔らかい木材は矢崎美緒の姿に彫刻され、眉目がはっきりとし、体つきも整っていた。
矢崎政氏は少し驚き、一歩後ずさりした。