396 厄運から解放

車の中で、矢崎粟は藤田川と話をしていた。

彼女は矢崎正宗に一瞥もくれず、それが矢崎正宗の心を痛めた。

以前、家にいた時、矢崎粟はとても素直で思いやりがあった。こんなに良い子が、矢崎家によって失われてしまったのだ。

しばらくして、三人は病室に着いた。

入室後、矢崎正宗は車の荷物を全て運び込むよう指示した。

矢崎政氏も病室にいて、矢崎粟が来たのを見て、顔に喜びが溢れた。

矢崎若菜は藤田川が本当に来てくれたことに、心が激しく動揺した。

ついに不運から抜け出せる!

全ての準備が整った後、藤田川は病室のドアを内側から施錠させた。

そして、荷物の山から木材を取り出した。

彼が手を振ると、柔らかい木材は矢崎美緒の姿に彫刻され、眉目がはっきりとし、体つきも整っていた。

矢崎政氏は少し驚き、一歩後ずさりした。