矢崎美緒は布団に顔を深く埋め、歯を食いしばって耐えていた。
しかし、間もなくして彼女は見覚えのある離脱感を感じ始めた。彼女の運気が再び流出していたのだ。
彼女は確信していた。運気が流出しているのだと。
矢崎美緒は驚いて飛び起き、布団をはね除けて部屋の外へ走り出した。
彼女は熱を出していて、体が熱すぎると感じていたため服を着ていなかった。そのため、部屋を飛び出した時、全裸だった。
この院は、道家の弟子たちが住む場所で、院内には矢崎美緒の他にも多くの道家の弟子が住んでいた。
矢崎美緒は走りながら大声で叫んだ。「竜田おばさん、助けて!」
院内に住む弟子たちは助けを求める声を聞いて、次々と窓を開けて外を覗いた。
彼らは全裸の女性が走っているのを目にした。
矢崎美緒の体は黒ずんで黄ばんでおり、脚には黒い斑点が散らばっていて、とても醜く見えた。
この光景は、見る者の目を汚すようなものだった。
弟子たちはさっと窓を閉めた。
その時、竜田実子は部屋で座禅を組んでいた。
彼女は助けを求める声を聞いて、すぐに戸を開けた。
矢崎美緒の全裸で走り回る姿を見て、彼女も思わず眉をしかめて顔をそむけた。
矢崎美緒は戸が開いたのを見計らって、すぐさま中に滑り込んだ。
彼女は竜田実子の袖を掴み、急いで言った。「竜田おばさん、私の運気を見てください。どんどん流出していって、このままだと運気が無くなってしまいます。」
竜田実子は運気の流出という言葉を聞いて、目を凝らした。
彼女が矢崎美緒の頭上を見ると、確かに一筋の運気が消散していた。
竜田実子は手近な古着を取って矢崎美緒に着せ、「今から法術を行うわ。動かないで。さもないと後悔することになるわよ!」と言った。
そう言うと、彼女は棚に向かい、法術の道具を取り出した。
竜田実子は道具を一つずつテーブルに並べた。
もう一度確認してから、呪文を唱え始め、法術の準備を整えた。
矢崎美緒は泣きそうな顔で、涙を流しながら言った。「竜田おばさん、私の運気は全部盗まれてしまうんですか?」
竜田実子は彼女に応えず、引き続き呪文を唱えていた。
十秒後、彼女は矢崎美緒の髪の毛を数本抜き、短剣を取り出して矢崎美緒の指先を切った。
最後に、器で矢崎美緒の血を集めた。