398 二人の術比べ

竜田実子は壁から白い弓を取り、ろうそくの光に向かって弓を引き絞った。

放たれた瞬間、彼女は法力で矢を作り出した。

矢はろうそくの光に沿って、矢崎粟の胸に向かって突き刺さっていった。

続いて、さらに八本の矢を放ち、向かい側の玄学師に向かって攻撃を仕掛けた。

矢に当たれば、その人の体を貫き、体内に邪気の種を植え付けることになる。

邪気が体内に入ると、血液中を巡り、白血球を攻撃する。

矢崎粟も明らかに、今回の攻撃の法力が強いことを察知した。

彼女は玉のペンダントを取り出し、そこから凶気を引き出して、それを凝縮して剣の形にした。

矢崎粟は意識を使って、その剣を振るった。

数秒後、竜田実子の放った矢は全て矢崎粟の剣によって切断され、彼女に一切の傷を与えることはできなかった。

矢崎粟はろうそくの光に沿って、向かい側に剣を突き出した。

竜田実子は内心得意げで、矢崎粟は必ず自分に重傷を負わされると確信し、警戒を緩めた。

しかし思いがけず、一振りの剣が彼女に向かって突き刺さってきた。

剣は彼女の胸を貫いた。

傷口には、炎で焼かれるような感覚があった。

竜田実子は痛みで叫び声を上げ、胸を押さえながら地面に崩れ落ちた。「痛すぎる!」

その剣には、濃密な凶気が漂っていた。

彼女は即座に自分のツボを押さえ、一時的に痛覚を遮断し、やっとの思いで立ち上がった。

竜田実子はろうそくの光を通して、向かい側の玄学師を見つめた。

これはありえないはずだ!

以前道で矢崎粟に出会った時、密かに彼女の修養を観察したところ、自分より低いことが分かっていた。

だからこそ、今日は自信を持って矢崎粟と対面して法術を戦わせたのだ。

しかし思いがけず、矢崎粟に傷つけられてしまった。

これは、矢崎粟の修養が自分より強いことを示しているのではないか?

この認識は、竜田実子に挫折感を与えた。

何十年も修行を重ね、一心不乱に励んできたのに、女優に負けてしまうとは。

一方その頃。

藤田川は突然目を開き、人形から二枚の符紙を剥がし、「気運、開!」と低く唱えた。

次の瞬間、二つの人形が寄り添うように倒れ、燃え始めた。

矢崎粟も手を振り、ろうそく立ての上に新たな符紙を貼り、元の二枚の符紙をろうそくの火で燃やした。

一瞬にして、ろうそくの炎が半メートルほど跳ね上がった。