399 師尊が反噬される

男は怒りで机の上の本を全部床に払い落とし、通話用の霊石を取り出して竜田実子に向かって叫んだ。「こっちに来い!」

その声には、怒りが満ち溢れていた。

竜田実子は震えながら、顔を真っ青にして、おそるおそる立ち上がり、外へ向かって歩き出した。

まずい、師匠が怒っている。きっと厳しく罰せられるに違いない。

矢崎美緒はまだ床に倒れたまま、泣き叫んでいた。「竜田おばさん、行かないで、体が本当に痛いの、死にそうなくらい痛いの。」

頭が割れそうに痛み、骨の中からも痛みが走っていた。

激痛の中で、矢崎美緒は気を失ってしまった。

道家協会の主庭園で。

竜田実子は胸を押さえながら、小さな足取りで庭に入り、頭を下げたまま進んで、「師匠、参りました。」

男の怒り狂った声が響いた。「矢崎美緒をしっかり見張るように言っただろう?なぜ呪術を破られたんだ?」

まったく役立たずめ、こんな簡単なことすらできないとは。

竜田実子は冷や汗を流しながら、男の前に跪いた。「申し訳ございません、私の無能さが原因です。どうかご処罰ください!」

彼女は師匠に牢獄に投げ込まれることを恐れていた。

あの懲罰の手段を、もう二度と経験したくなかった。

男は冷たい目で彼女を見つめ、「話せ、一体何があった?」

理屈では、矢崎美緒にはまだかなりの運気が残っているはずで、相手が法術を使っても奪うのは難しいはずだった。

そして、竜田実子は矢崎美緒が面倒を起こし、呪術をかけられ、体調が悪化したことなどを説明した。

矢崎美緒の運気が流出するのを見た瞬間、相手の玄学師と戦ったが、相手に傷つけられてしまったという。

男は黙って考え込んだ。

しばらくして、彼は尋ねた。「その人物は矢崎粟か?」

竜田実子は頷いた。「はい、彼女の声を聞きました。間違いなく彼女です。ですが不思議なことに、彼女の実力があまりにも強かったのです。」

常識では考えられないほど強かった。

天才でも、あんな若さであれほどの修養を持つことは不可能なはずだ。

男も眉をひそめ、理解できないようだった。

こんなに短時間で呪術を破るには、経験だけでなく、実力の面でも超一流の玄学師でなければならないはずだ。

しばらくの間、二人とも言葉を発しなかった。