408 真言の札

矢崎粟は小林美登里の詰問を聞き終わると、笑みを浮かべた。

彼女はポケットから一枚の符紙を取り出した。これは真言符と呼ばれるもので、短時間だけ人に真実のみを語らせることができる。

彼女は符紙を燃やし、その灰は風に乗って散っていった。

その後、矢崎粟は呪文を唱え、澤蘭子の香袋に付着していた凶気を操り、澤蘭子の脳内へと送り込んだ。

藤田川は傍らに座り、彼女の行動を見て、首を振りながら笑った。

どうやら、矢崎粟こそが背後で全てを操っていた人物のようだ。

ホテルの部屋の中。

その凶気が澤蘭子の脳内に入り、中枢神経を支配して、彼女を怒りやすい状態にした。

澤蘭子は考えることもなく、口を開いた。「香袋が効果を発揮したのは、あなたが馬鹿だからよ。賢ければ、私の挑発に乗るはずがないわ。」