矢崎粟は小林美登里の詰問を聞き終わると、笑みを浮かべた。
彼女はポケットから一枚の符紙を取り出した。これは真言符と呼ばれるもので、短時間だけ人に真実のみを語らせることができる。
彼女は符紙を燃やし、その灰は風に乗って散っていった。
その後、矢崎粟は呪文を唱え、澤蘭子の香袋に付着していた凶気を操り、澤蘭子の脳内へと送り込んだ。
藤田川は傍らに座り、彼女の行動を見て、首を振りながら笑った。
どうやら、矢崎粟こそが背後で全てを操っていた人物のようだ。
ホテルの部屋の中。
その凶気が澤蘭子の脳内に入り、中枢神経を支配して、彼女を怒りやすい状態にした。
澤蘭子は考えることもなく、口を開いた。「香袋が効果を発揮したのは、あなたが馬鹿だからよ。賢ければ、私の挑発に乗るはずがないわ。」