老人は陰険で不気味な笑みを浮かべながら、片手で川上夕子の首を掴み、もう片方の手を彼女の頭に置いていた。
運気を吸収し始めてから、体内の呪術が効果を発揮し、自動的に運気を寿命へと変換していった。
老人はどんどん若返り、白髪も黒髪へと変わっていった。
しわだらけだった顔もなめらかで引き締まったものになった。
五分後、川上夕子の体に残っていた運気は完全に吸い取られ、彼女はミイラのように、虚ろな目で空を見つめていた。
生きている気配は全くなかった。
胸が上下し、呼吸があるのを確認できなければ、矢崎美緒は彼女が死んでいると思ったことだろう。
老人は川上夕子を地面に投げ捨て、ポケットからハンカチを取り出して手を拭うと、不気味な視線を矢崎美緒に向けた。
彼は矢崎美緒の恐怖に満ちた表情を楽しむように、口角を上げて微笑んだ。
山頂全体に彼が陣法を張り巡らせていたため、自分のしたことが他の玄学師に発見されることを全く心配していなかったし、より大胆に振る舞っていた。
矢崎美緒は彼が自分を見ていることに気づき、体を震わせた。
彼女は本当に怖かった。
老人はその場に立ったまま、優しく微笑みかけて言った。「美緒、怖がることはないよ。私は君を傷つけたりしないから。」
彼が川上夕子の運気を吸収したのは、彼女の運気が自分にとって有益だったからだ。
しかし矢崎美緒の運気は何度も反噬を受けており、すでに濁りきっていた。
たとえ吸収したとしても、精製するのに長い時間がかかるだろう。
自分で修行する方が早いくらいだった。
矢崎美緒は彼を一瞥すると、素早く頭を下げ、会話をする気配もなく、体は小刻みに震えていた。
彼女は知らなかったが、目の前のこの老人は、彼女のすべての秘密を知っていた。
25年前。
老人は明徳峰に座り、何度も占いを行ったが、運気を吸収できる人物を見つけることができなかった。
運気を吸収するには、運気の子を見つけなければならない。
運気の子だけが、絶え間なく幸運と機縁を生み出すことができるのだ。
ついにある夜、矢崎家に運気の子が降臨するという占いの結果を得た。
この運気の子は女の子で、生まれながらにして並外れた存在だった。
老人は非常に心を動かされ、2年の時間をかけて矢崎美緒という駒を用意した。