九人を倒した後、矢崎粟は前進し続けた。
後ろからも何波もの人々が車を止めようとしたが、全て矢崎粟によって片付けられた。
空港に近づいた頃、矢崎粟は前方で渋滞を見かけ、小道に入った。しばらく走ると、車が突然エンストを起こした。
車を降りた時、矢崎粟は自分がまた狙われていることを悟った。
この一団は既に陣法を仕掛けていた。
空は血のように赤く、地面には手足の切断部が散乱し、車の周りには首のない死体が並んでいた。
このような手口は、矢崎粟にとって既に慣れたもので、恐れる必要はなかった。
彼女は笑みを浮かべ、足元でクスクス笑う頭部を蹴り飛ばし、続いてポケットから赤い蝋燭を取り出した。
蝋燭に火を灯した後、呪文を唱えた。
矢崎粟は法器を蝋燭の炎に注入し、赤い蝋燭の光は次第に強くなり、彼女の周囲三メートルを照らすほどになった。
そして、赤い蝋燭を中心に、空に穴が開いた。
太陽の光がその穴から差し込んできた。
徐々に、周囲の全てが元に戻り、青空と白い雲が再び現れ、周りは人気のない普通の路地となった。
塀の側で見張っていた二人の道士は、矢崎粟を目を見開いて見つめた。
この陣法は何度も使用してきたもので、毎回成功し、五級の実力を持つ道士さえも殺していた。
しかし、矢崎粟がどうしてこんなにも早く脱出できたのか?信じられないことだった!
どうやら、彼らが得た情報は間違っていたようだ。矢崎粟は五級下級の実力ではなく、五級中級か上級の実力を持っているのだ。
そうなると、二人とも宝物を奪えるという確信が持てなくなった。
矢崎粟は二人の方向を見た。一瞥しただけで、彼女は分かった。この二人の一人は五級中級で、もう一人は五級下級だった。
実力は決して低くはなかった。
しかし、彼女と比べるとまだまだ弱すぎた。
五級中級の実力を持つ道士は極めて強力な法器を取り出した。それは宝塔で、凶気と邪気が絡み合い、威力は非常に強かった。
もう一人は首切り刀を手にしていた。それは清朝の役人から伝わった宝物で、無数の人の血が染み付き、怨念も帯びていた。
この刀に切られると、人の体は徐々に腐敗し、最後には白骨となってしまう。
この二人は、一人が宝塔で攻撃し、一人が大刀を振るい、同時に矢崎粟に向かって攻撃を仕掛けてきた。