452 すでに死んでいた

矢崎粟の指がキーボードの上を素早く動き、画面に黒いページが表示され、彼女は3つの監視カメラの映像をすべてウェブページに取り込んだ。

そして、彼女は大量のコードを打ち込んだ。

3分後、矢崎粟がエンターキーを押すと、3つの監視映像が出力された。

この速さは、まさにハッカーの達人級だ。

矢崎粟は再生ボタンを押し、川上夕子が映っている場面まで進めた。

鈴村薫は感嘆し、矢崎粟に視線を向け、喜びの表情を浮かべた。

復元できただけでなく、その速さも驚異的だった。

この効率は、ネットワーク技術の専門家でさえ及ばないほどだ。

映像には、川上夕子が前を歩き、二人の男性が彼女の後ろを半メートルの距離で追っていた。

川上夕子の足取りは不安定で、顔色は青ざめ、目は虚ろだった。

矢崎粟が一時停止を押すと、画面は川上夕子の顔で止まった。

鈴村薫は眉をしかめ、「川上夕子の状態が明らかにおかしい。生きている人間というより...まるで屍のようだ」と言った。

歩き方も機械的で、生気が全くない。

川上孝史も分析を加えた。「彼女の後ろの二人は、ずっと彼女を見つめている。まるで監視しているようだ」

矢崎粟は説明した。「この時点で川上夕子はすでに死んでいました。人形のように操られて歩かされていて、生命力は完全に失われています。後ろの二人は他人との接触を避けて、彼女が死んでいることが発覚しないようにしていたのです」

もし誰かが川上夕子に近づけば、彼女のまぶたが動かないことに気付いただろう。

呼吸もしていない。

続いて、矢崎粟は次の監視映像を再生した。この映像はかなり平和な様子だった。

とある通りで、時刻は午前9時過ぎ。

おそらく朝の外出時の映像で、川上夕子は車の後部座席に座り、窓を開け、お菓子を食べながらイヤホンで音楽を聴いていて、かなりくつろいでいる様子だった。

前には黒服の男性二人が運転していた。

この二人が川上夕子を送り届けた人物のはずだが、正面は映っておらず、完全には確信できない。

川上孝史はため息をつき、「行く時は機嫌も良かったのに、帰ってきたら命を落とすことになるとは思ってもみなかっただろう」と言った。

この監視映像から、川上夕子が出発時にはまだ生きていたことは明らかだ。

矢崎粟は最後の監視映像を再生した。

時刻は夜の8時過ぎ。