川上孝史は嬉しそうに手を擦り合わせ、顔中喜色を浮かべながら言った。「素晴らしい!今や監視カメラで川上夕子が連れ去られた後に死亡したことが証明でき、犯人の気配も抽出できる。これで直接犯人を裁くことができる!」
証拠が揃えば、逃げ出そうとしても無理だ。
これこそが玄学大師の実力!鈴村薫も目に興奮の色を宿していた。
矢崎粟は頷いて、「では今から気配の抽出を始めます。邪魔をしないでください」と言った。
そう言うと、彼女はポケットから白玉の玉を取り出した。
白玉の玉はウズラの卵ほどの大きさで、全体が雪のように白く、とても美しかった。
これは気配を吸収する法器で、エアボールと呼ばれている。
矢崎粟はさらにポケットから黄蝋燭を取り出し、火を灯して川上夕子の頭の横に置いた。
次に、彼女は玉のペンダントを取り出し、その中から吉祥の気を引き出した。
吉祥の気は蝋燭の火の周りを取り巻いた。
矢崎粟は呪文を唱え始め、一段の引き出しの呪文を唱え終えると、蝋燭の火の上に黒い気が漂っていた。
矢崎粟が手にした白玉の玉を差し出すと、その黒い気は白玉の玉の中に入り込み、球の中で回転していた。
最後に、白玉の玉と一体となった。
白玉の玉はゆっくりと茶色の球に変化していった。
色が固定すると、矢崎粟は球を川上孝史に渡して言った。「球には相手の気配が付いています。この気配を頼りに、犯人を追跡できます」
そう言って、彼女は二人の隊長を見た。
彼女は、この二人が玄学を使えず、玄学で犯人を追跡できないことに気付き、尋ねた。「気配で犯人を追跡する法器や機器はありますか?」
鈴村薫は頷いて、「ありますよ、ご心配なく」と答えた。
玄学管理所の人々の大半は玄学師ではないため、気配の追跡が必要な事件に直面すると困ることが多かった。
しかし管理所は研究機関と協力して、いくつかの追跡装置を開発した。
これらの追跡装置は精度が非常に高い。
矢崎粟は「それは良かった」と言った。
そう言った後、彼女は何か見落としがないか心配で、もう一度川上夕子を丁寧に調べた。
すると、川上夕子の靴にはかなりの草の切れ端と土が付着していることに気付いた。
川上夕子の小指の爪の中には、小さな布切れが隠されていた。