464 許すことはできない

矢崎美緒はより自信を持つようになった。

小林美登里は彼女の腕を軽く叩いて、言った。「家の部屋はまだ空けてあるわ。必要なものは自分で買ってきてね!すべて以前と同じよ、遠慮しないで」

ちょうど、彼女も話し相手が必要だった。

呪いの毒にかかってから、めったに外出しなくなっていた。

一日中家に閉じこもって、息が詰まりそうだった。息子たちも彼女に会っても相手にしたがらない。

今はよかった。矢崎美緒が戻ってきて、彼女はついに孤独ではなくなった。

矢崎美緒は感動した表情を装って顔を上げ、手で涙を拭いながら涙ぐんで言った。「お母さん、本当にありがとう!私は本当に幸運です。あなたのような素晴らしいお母さんがいて。これからは必ずしっかり親孝行します」

小林美登里の目に笑みが浮かんだ。

彼女が最も望んでいたのは、親孝行で言うことを聞く子供だった。矢崎美緒のこの言葉は、まさに彼女の心に響いた。

食卓で、残りの三人の兄弟は顔を見合わせ、頭を抱えていた。

どうすればいいのか?母はだまされやすすぎる。矢崎美緒がこう言っただけで、すべて信じてしまい、また家に住まわせることにした。

でも彼らは家で矢崎美緒を見たくないのだ!

矢崎若菜は眉をひそめ、次男の矢崎弘を見て、無言で言った。「行ってよ、母さんを説得してよ!」

矢崎弘は口をとがらせ、首を振った。

彼は行きたくなかった!

この時期に矢崎美緒を追い出すのは、母と敵対することになるではないか?

矢崎政氏は彼に小声で言った。「お前、まだ次男なのか?ここで一番上なんだぞ。お前が行かないなら、俺が次男になるぞ」

この言葉を聞いて、矢崎弘はようやくため息をついた。

彼は母親の方を向いて、小声で言った。「母さん、私たちが以前話し合ったことを忘れたの?」

東京に戻ってから、家族は全員一致で、矢崎美緒との養子縁組を解消することを決めていた。

矢崎美緒は十八歳を超えており、もう彼女にお金を与えたり、養育したりする必要はない。関係を断つということは、今後矢崎美緒に親孝行を期待する必要もないということだ。

これは家族全員で既に決めていたことだった。

小林美登里は思い出した。

家族でこの件について話し合っていた。それは東京に戻った最初の夜で、ちょうど家族全員が集まっていた時に、この件を決めたのだ。