森田廣はその場で固まったまましばらく立っていたが、彼も二階へ向かって歩き出した。小林瑞貴を監視して、証拠を勝手に公開させないようにするためだった。
吉村久真子の顔が痛かったが、心はもっと痛かった。
森田廣が殴られても矢野朱里をかばうなんて思いもよらず、彼女の心は嫉妬で燃えていた。
彼女が森田廣と過ごしてきた時間でも、まだ彼の心を完全に掴めていないのだろうか?
呪われろ、矢野朱里!
吉村久真子も頬を押さえながら後を追い、目には毒々しい嫉妬の色が浮かんでいた。
他の人々も続々と後を追い、この先どうなるのか見届けようとした。
店長は40代の男性で、名前は白川隼といった。
彼は数人が階段を上がっていくのを見て、理解したような目つきをした。
彼らの来意を聞いた後、店長は一行を3階の監視室に案内し、監視カメラの映像を取り出すよう指示した。