489 傷跡なし

医者は懐中電灯を持って、矢崎美緒の顔を注意深く見たが、やはり傷跡は見つからず、ため息をつきながら首を振って言った。「お嬢さん、外傷は全く見当たりませんね。他の検査を受けてみてください」

二人は検査を終えると、伝票を持って再びこの医者のところへ戻ってきた。

医者は検査結果を注意深く見て、非常に困惑した様子で言った。「本当に殴られたんですか?怪我の痕跡が全くないのに、どうして痛むんでしょうか?」

夜遅くに、この二人は自分を馬鹿にしているのではないだろうか?

こんな患者は初めて見たという顔だった。

小林瑞貴は目を丸くして、「絶対に間違っています。痕跡がないなんてありえません!私は強く蹴られて、吹き飛ばされたんですよ」

今、胸全体が痛く、足も痛かった。

背中を打ちつけた場所も、ひどく痛んでいた。