最初、小林瑞貴は突然気を失っただけだった。
その後、激しい頭痛に襲われ、地面を転げ回って再び意識を失うほどだった。
夜が一番辛かった。小林瑞貴はほとんど眠れず、深い眠りに落ちると頭が激しく痛み出し、目が覚めてしまうのだった。
深刻な不眠症で、小林瑞貴はみるみる憔悴していった。今の彼の最大の願いは、ゆっくりと眠ることだった。
小泉西もほっと胸をなで下ろした。「よかった。私たちも安心できるわ。粟、あなたがいてくれて本当によかった。あなたがいなかったら、私たち、どうなっていたか分からないわ」
矢崎家は本当に目が見えていなかった。矢崎粟をあんな風に扱うなんて。
小泉西は暇な時に矢崎粟が出演したバラエティ番組を見ていたので、矢崎家がどれほど酷い仕打ちをしたのか知っていた。
矢崎粟は微笑んで言った。「私と先輩が解毒術を知っているということは、しばらく秘密にしておきましょう。さもないと矢崎美緒の背後にいる人たちが警戒して、彼らの本当の目的を知ることができなくなります」
小林悠一は頷いた。「分かった。その通りにしよう」
彼は引き続き玄学大師を探し、息子の病気を診てもらい、心配そうな様子を装うつもりだった。
小泉西は恨めしそうに言った。「私たち家族四人以外には誰にも知らせないわ」
彼女も小林家の者たちに小林美登里の本性を見抜いてほしかった。もし小林家の者たちが呪いの毒が解けることを知ったら、きっと気にも留めず、小林美登里の言い訳を探すに違いない。
小林おじい様と小林おばあ様は小林瑞貴を可愛がっていたから、呪いの毒が解けないと聞いてはじめて小林美登里に失望するだろう。
しばらくすると、ドアの外からノックの音がした。
小林哲が前に出てドアを開けると、最初に入ってきたのは小林おじい様の小林潤と小林おばあ様の澤田霞だった。
小泉西は憂いに満ちた表情で二人の老人に泣きながら訴えた。「お父さん、お母さん!やっと来てくださった。早く瑞貴を見てあげてください!」
小林悠一もため息をつきながら、傍らに立っていた。
病室の様子を見て、小林潤は不吉な予感がして大きく驚き、杖をつきながら急いで入ってきた。「瑞貴はいったいどうしたんだ?早く話してくれ!」
これは彼らが最も可愛がっている長孫だ。何かあってはならない。
澤田霞も驚いて、心配そうだった。