矢崎粟は「お兄様のお褒めの言葉、ありがとうございます。小林瑞貴の件について、手伝っていただけますか?」と言った。
藤田川は頷いて、笑いながら「もちろんだ。知っての通り、私は古城から出られないから、ここに人を連れてきてくれれば、私が守護をするだけだ」と答えた。
彼は普段、玄学師同士の争いには関わりたがらなかった。
しかし、矢崎粟が助けを求めてきた以上、彼も矢崎粟に中華街から出る手助けを必要としているため、傍観するわけにはいかなかった。
矢崎粟は急いでお礼を言った。「はい、分かりました。ありがとうございます、お兄様」
二人は更に少し世間話をし、藤田川は矢崎粟に背後の人物が大きな動きを起こす可能性があるため、しばらくの間気をつけるように注意を促した。矢崎粟が承諾した後、二人は電話を切った。
矢崎粟が病室に戻ると、部屋の中の四人はまだ憂いに満ちた表情をしていた。
矢崎粟は穏やかな声で「成功率を上げる方法があります」と言った。
その言葉を聞いて、四人は驚きと喜びの表情で矢崎粟を見つめた。
小泉西は急いで近寄り、「どんな方法ですか?必要なものがあれば何でも言ってください、必ず協力します」と焦って尋ねた。
矢崎粟は「私の師匠兄の玄学の実力はとても強いので、彼に防禦陣法を作ってもらえば、成功率を上げることができます。ただし、一つ条件があります」と答えた。
「どんな条件ですか?」と小林哲がすぐに尋ねた。
矢崎粟は「この儀式は必ず中華街で行わなければなりません」と言った。
この条件は、それほど厳しいものではなかった。
小林悠一は頷いて「問題ありません。小林家のプライベートジェットで皆さんを送ることができます。他に必要なものがあれば、すぐに集めることもできます」と言った。
小泉西は素早く矢崎粟を抱きしめ、目を赤くして「粟、本当にありがとう。あなたの助けがなければ、瑞貴がどうなっていたか分からないわ」と言った。
小林哲もまた頷いて「今回は本当にありがとう。今後、私に何か必要なことがあれば、連絡してください」と言った。
重要な時こそ、人の本質が見えるものだ。
兄の一件を通じて、彼は矢崎粟の冷静な外見の下にある義理堅さを発見した。