矢崎美緒は自分の怪我の写真を兄たちに送り、見舞いに来てくれることを期待していた。
しかし、数日が経っても三人の兄は一度も部屋に来なかった。
矢崎美緒は小林瑞貴と小林哲にメッセージを送った。
二人からは返信もなく、まるでメッセージを見なかったかのようで、矢崎美緒はそれに腹を立てていた。
矢崎美緒はある策を思いついた。小林美登里にもっと可愛がってもらえば、兄たちに自分の世話を強制させることができる。そうすれば、彼らは逃げることもできないだろう。
その日の夜、矢崎美緒は竜田実子に連絡を取った。
二人で相談した後、竜田実子は帰っていった。
翌日、矢崎美緒は小林美登里を自分から探し、一人で自分の部屋に来てもらった。
小林美登里は不機嫌な顔で、「一体何の用事なの?リビングで話せないことなの?」
この数日間、道士から貰った符紙の一ヶ月の使用期限が近づいており、彼女の呪いの毒が再び発作を起こし始め、気分も悪くなっていた。
矢崎美緒は唇を噛んで、「お母さん、あなたがこんなに苦しんでいるのを見るのが辛くて、呪術師を見つけたの。彼があなたを助けられるかもしれない」と言った。
小林美登里の目は異様に輝き、すぐに矢崎美緒の手を掴んで、「本当?私の体内の呪虫を殺せるの?」
矢崎美緒は首を振って、「呪虫は今のところ殺せません」と答えた。
小林美登里は矢崎美緒の手を少し緩め、歯を食いしばって「じゃあ、何を言っているの?」
矢崎美緒は笑いながらゆっくりと「殺せないけど、別の方法があります」と言った。
小林美登里は再び喜び、矢崎美緒の手をしっかりと握って、「言って、お母さんを助けてくれるなら、何でも望みを叶えてあげるわ」
矢崎美緒は「その呪術師が言うには、あなたの体内の呪虫を他人の体に移すことができるそうです」と言った。
「それはいいわね!」小林美登里は体を少し震わせ、顔にしわを作って笑った。
他人のことなど気にしない、せいぜいその人にお金を多めに渡せばいい。
矢崎美緒は「その人は二つの条件を満たす必要があります。一つ目は、その人があなたと血縁関係にあること。二つ目は、あなたと同じ月に生まれていることです」と説明した。
この方法は、竜田実子が長い時間をかけて考え出したものだった。