540 犯人は小林美登里だった

今、脳の中に虫がいると聞いて、小林瑞貴は心の中で慌てていた。「虫!私は虫が大嫌いなのに、どうして私の頭の中に虫がいるの?あの女のせいかもしれない?」

でも、なぜその人は彼を害そうとしたのだろう?

小泉西も焦っていたが、口を開かなかった。矢崎粟の診察の邪魔をしたくなかったからだ。

矢崎粟はしばらく考えてから、また言った。「もう一度思い出してみて。その人はどんな様子だったの?」

小林瑞貴は何とか落ち着きを取り戻して、「その人はお腹が大きくて、妊婦みたいでした。布の帽子を被って、マスクをしていて、目だけが見えていました。声も変で、わざと裏声を使っているみたいでした」

わざと声を隠していた……この点に、矢崎粟は眉をひそめた。

これは、その人が小林瑞貴の知り合いで、正体を隠すために姿を隠していた可能性があるということだ。