552 断絶

もし兄に何かあったら、命を賭けてでも兄の仇を討つつもりだ。

小泉西も続けて言った。「瑞貴の言葉は、私たち長男家の意思です。これからは小林美登里とは親戚付き合いはしません。もし小林瑞貴に何かあれば、小林美登里には命で償ってもらいます！」

小林昌は眉をひそめた。「お兄さんの奥さん、そこまでする必要はないでしょう。」

小林悠一は冷たい目で小林昌を睨みつけた。「兄嫁の意見は私の意見でもある。絶対に徹底的に追及する。これからは小林美登里を妹とは認めない。」

今苦しんでいるのは小林悠一の息子であって、小林昌の息子ではない。だから小林昌は事態をそれほど深刻に受け止めていなかった。

傍らの田中千佳はしばらく呆然としていた。小林瑞貴の首にその膨らみを実際に見つけて、心が落ち着かなくなった。

本当に呪虫がいるというのか？

長男家の態度が断固としているのを聞いて、田中千佳は急いで諭した。「小林瑞貴の状態はそれほど悪くないと思います。その虫の毒性はそれほど強くないでしょう。脳外科の医師にもう一度診てもらって、小さな手術で取り除けるかもしれませんよ！」

「私が思うに、関係を断絶するところまでする必要はありません。小林美登里も騙されただけです。甥に何かあると分かっていれば、きっとこんなことはしなかったはずです。」

田中千佳は言い終わると、小泉西の方を見た。

小泉西は怒りを含んだ目で、憤然と言った。「あなたは他人事だから簡単に言えるのよ。その虫があなたの頭に入ったら、怒らないとでも？もし手術で取り除けるなら、小林美登里は私の息子に虫を移す必要なんてなかったはずよ。」

最も重要なのは、小林美登里が全てを隠していたことだった。

もし矢崎粟が玄学を知らなければ、彼らは今でも馬鹿みたいに騙されたままだったはずだ。

これでどうして小泉西が怒らずにいられようか？

田中千佳はただ傍らで見物しているだけで、小林瑞貴の立場に立って考えたことなどない。たった数日でこんなに憔悴してしまったのだから、これからの状態は確実に悪化していくだろう。

田中千佳は思わず小声で呟いた。「小林瑞貴が叔母さんの呪虫を引き受けたのは、孝行の一つでしょう。何が不満なの？」