568 信頼できるはず

森田廣は少し笑って、「彼らが信用できないと言ったら、これからの話を聞けなくなるのかな?」

「はい」矢崎粟は頷いた。「信用できないなら、この二人には外で待っていてもらって、話が終わってから入ってきてもらうことになります」

森田廣の笑みはさらに深くなった。

矢崎政氏と矢野常は焦って、森田廣の方を見た。部屋の外に追い出されたくなかった。

せっかく来たのだから、矢崎粟が何を話すのか知りたかった。

森田廣は意図的に二人をしばらく焦らせてから、こう言った。「この二人とは長い付き合いで、関係も悪くない。信用できるはずだから、ここに残してもいいだろう」

「信用できるはずって何だよ?」矢崎政氏は怒って尋ねた。

森田廣が警告するような目つきで彼を見ると、矢崎政氏はすぐに口元でチャックを閉める仕草をして、もう話さないことを示した。

しかし矢崎政氏の心の中では、まだ怒りが収まっていなかった。

矢野常も同様に心の中では憤慨していたが、何も言わなかった。

森田廣の目に暗い光が走った。彼は矢崎粟が何を言おうとしているのか察していた。この件は森田家の秘密に関わることで、確かにあまり多くの人に知られるべきではなかった。

彼は深く息を吸い、矢崎粟に言った。「よし、始めよう」

矢崎粟は軽く頷いて、「吉村久真子という人のことをどれくらい知っていますか?彼女に問題があることを知っていますか?」

森田廣は躊躇なく頷いた。「知っている。だから彼女を側に置いて監視しているんだ」

ここまで言って、彼は矢野朱里の方をちらりと見た。彼は浮気をしているわけではなく、ただ吉村久真子の一挙手一投足を監視したかっただけだった。

矢野朱里は口元に嘲笑を浮かべたが、何も言わなかった。

矢崎粟はさらに尋ねた。「彼女の生年月日を知っていますか?」

「知っているよ。朱里と同じ日が誕生日だ」森田廣は答えた。

彼は矢野朱里の誕生日をよく覚えていて、ほぼ毎年、矢野朱里の誕生日を祝っていた。

その後、矢崎粟は調査で入手した出生証明書のコピーを森田廣に見せた。

森田廣はそれをめくって、少し驚いた様子で「彼女がこんな時間に生まれたなんて…」

彼は言葉を最後まで言わなかったが、矢崎粟も何か違和感を感じ取った。

矢崎粟は言った。「この出生時刻に、何か問題があるのですか?」