597 離婚の根拠

矢崎粟は続けて言った。「あなたのお母さんは、きっと高人の指示を受けて、お父さんの側にいることで運気を吸い取れることを知ったんです。天道に気付かれないように、何度も何度もお父さんに毒を盛って病気のふりをさせていたんです。この数年間のお母さんの贅沢な暮らしは、全て運気を吸い取ることで実現していたんです。」

二人の間には呪術による繋がりがあり、田中浩が体調を崩している限り、本田水鳥は無条件で運気を吸い取ることができた。

本田水鳥は矢崎美緒の実母で、背後の人物の多くの女性の中でも比較的関係の深い一人だった。

「つまり、彼女が私との離婚を拒む理由は、私の側にいて運気を吸い取りたいからか?」田中浩は歯を食いしばって尋ねた。

矢崎粟は頷いた。「その通りです。」

田中浩から離れれば、本田水鳥はこのような贅沢な生活ができなくなり、優雅な生活を送る奥様でいられなくなる。