小林博は優しく慰めた。「矢崎政氏は風邪で熱を出して、矢崎若菜も体調が悪くて不運だから、二人とも君の世話をする状態じゃないんだ。二人とも良くなったら必ず来るって言ってたから、安心して」
「うん」
矢崎美緒は目を伏せ、まだ寂しそうな表情を浮かべていた。「お兄ちゃんたちが早く良くなりますように。私の骨折なんて大したことないけど、お兄ちゃんたちが怪我したら仕事に支障が出るから」
その言葉を聞いて、小林博は心を打たれた。「君はね、優しすぎるんだよ。君も早く良くならないとね」
矢崎美緒は少し笑って、小林博の腰に抱きついた。「いとこお兄ちゃん、本当に優しいね。美緒はいとこお兄ちゃんが大好き」
「僕も美緒のことを一番守りたいんだ」小林博は彼女の髪を優しく撫でながら言った。
優しい美緒だけが、彼の庇護と愛情を受ける資格があるのだ。矢崎粟のような計算高い女は大嫌いだった。