607 二房の反応

小林博は少し笑って、「それは当然だよ。もう長話はしないけど、二人とも病気が良くなったら、必ず病院に来て美緒の看病をするんだよ。分かった?」

矢崎若菜は何度も頷いて、「分かってます、分かってます。よく覚えてます」

小林博は二人を一瞥して、笑いながら去っていった。

彼が完全に矢崎家の玄関を出てから、矢崎若菜の表情が一変し、冷たく言った。「小林博が東京に戻って矢崎美緒の看病をするって情報を、小林家に伝えましょう!」

小林家の者が知れば、きっと小林博を家に帰らせるはずだ。

そうなれば、小林博は必ず小林家の者からの詰問に直面し、私たちのことを追及する時間も余裕もなくなるだろう。

矢崎政氏は目を輝かせ、尊敬のまなざしで矢崎若菜を見つめた。「なんで俺にそんな考えが浮かばなかったんだろう。三兄貴は頭の回転が速いね。表では一つ、裏では別のことを考えてる。見習わないと!」