611 あやうく過ちを犯すところだった

矢崎弘は力強く小林博を引っ張り、数百メートル離れた日陰の隅で足を止めた。

小林博も息を切らしながら、不満げな表情で「従兄さん、父さんは一体何の用で僕を呼んでるの?それとも、全部嘘だったの?」と尋ねた。

彼も気づいた。この二人の出現はあまりにもタイミングが良すぎる、まるで意図的に邪魔をしに来たかのようだった。

矢崎弘は彼を睨みつけ、大きく息を吐きながら「お前は自分が大きな過ちを犯しそうだったことを知っているのか?」と言った。

「何の過ちだよ?一体何の話をしてるんだ?」小林博はさらに怒りを募らせた。

矢崎弘は深く息を吸い、「小林瑞貴が呪いの毒にかかっているのは知ってるだろう?」と答えた。

「知ってるよ!」小林博は無関心に言った。彼は小林瑞貴の容態など全く気にしておらず、帰国後も見舞いに行っていなかった。