649 凶多吉少

矢崎弘たちも、テントの近くに身を寄せ、大きく息を切らしながら、群がってくる虫を見つめ、ようやく休む時間ができた。

矢崎政氏は息を整えながら言った。「やっぱり粟がいいね。テントに陣法を設置してくれて、私たちに生存のスペースも残してくれた。」

テントの外側一メートルの範囲内には、毒虫が入ってこなくなった。

矢崎弘は力強くうなずいた。「そうだね!」

粟がこの陣法を残してくれなかったら、今夜は危なかっただろう。

少し離れた場所にいた呪術師は不満そうに言った。「ここに法陣が張られているということは、矢崎粟が必ずここにいるはずだ。矢崎粟を出せ!」

矢崎粟がこんなに強力な陣法を張れるなんて、毒虫を完全に防いでしまった。

それは藤村慎一に、事態が制御不能になりつつあるという感覚を与えた。