矢崎弘たちも、テントの近くに身を寄せ、大きく息を切らしながら、群がってくる虫を見つめ、ようやく休む時間ができた。
矢崎政氏は息を整えながら言った。「やっぱり粟がいいね。テントに陣法を設置してくれて、私たちに生存のスペースも残してくれた。」
テントの外側一メートルの範囲内には、毒虫が入ってこなくなった。
矢崎弘は力強くうなずいた。「そうだね!」
粟がこの陣法を残してくれなかったら、今夜は危なかっただろう。
少し離れた場所にいた呪術師は不満そうに言った。「ここに法陣が張られているということは、矢崎粟が必ずここにいるはずだ。矢崎粟を出せ!」
矢崎粟がこんなに強力な陣法を張れるなんて、毒虫を完全に防いでしまった。
それは藤村慎一に、事態が制御不能になりつつあるという感覚を与えた。