650 壊滅の災い

一瞬にして、五色蜘蛛は地面に落ち、背中を上に向けた。

すぐに、五色蜘蛛は鋭い叫び声を上げ、体をもがき続けた。

しかし、どれだけもがいても、体は地面にしっかりと固定されたまま、動くことができなかった。

藤村慎一は眉をひそめ、心配そうな表情を浮かべた。

一体これはどういうことなのか?

この五色蜘蛛は師匠の藤村敦史が心血を注ぎ、七七四十九日かけて作り上げたもので、水火や様々な呪術を恐れず、その実力は五級上品に迫るものだった。

これほどの実力を持つ蜘蛛が、なぜ一つの音声で地面に打ち倒されてしまうのか?

信じられない!

藤村慎一は驚愕の表情で、五色蜘蛛に向かって歩き出した。

青い光が一瞬きらめくのを見た瞬間、五色蜘蛛は突然消え去り、まるで最初からそこにいなかったかのようだった。

人々がその消えた青い光を追うと、矢崎粟がゆっくりと横から歩いてくるのが見えた。表情は穏やかだった。

青い光は矢崎粟のハンドバッグの中に入っていった。速すぎて誰も気づかなかったが、その光は実は青い蛇だった。

小蛇は五色蜘蛛をハンドバッグの中に捕らえると、蜘蛛を解体し始め、五色蜘蛛を飲み込んでいった。

その目には満足げな表情が浮かんでいた。

五色蜘蛛も抵抗を試みたが、体に力が入らず、先ほど矢崎粟が放った咆哮で重傷を負っていたため、小蛇に飲み込まれるしかなかった。

小蛇は食べ終わると満腹のげっぷをし、お腹を膨らませながら、目を輝かせていた。

これはとても美味しかった!

後で地面を這っているあの美味しそうな食べ物も食べたいと思った。

テントの外の人々は矢崎粟が戻ってくるのを見て、目に喜びの感情を浮かべた。

矢野朱里は手を振って大声で叫んだ。「粟、戻ってきたのね!心配したわ!」

目が覚めたら矢崎粟がいなくなっていて、テントの外で異変が起きていたので、とても心配だった。

でも彼女は矢崎粟の実力を信じており、矢崎粟が自ら出て行ったのだろうと推測していた。

しかし、矢崎粟が戻ってくるまでは、心の中で常に緊張していた。

矢崎粟は彼女に微笑みかけて、「ただいま」と言った。

小島一馬は彼女が近づいてくるのを見て、警戒の目で藤村慎一を見つめた。「粟、この男は呪術師だ。気をつけろ。矢野夫人に雇われて、お前を狙ってきたんだ」

彼は粟の実力を信じていたが、それでも心配だった。