矢野常はようやく落ち着きを取り戻し、「お父さん、これからどうするつもり?ずっと隠し続けるの?」と尋ねた。
矢野寿は首を振って、「いや、お前にこれを話したのは、すべてを明かす時が来たからだ」と答えた。
今話すのは、タイミングが来たからだ。
「すべてを明かす?背後にいる人たちが知ったら、矢野家に影響はないの?」矢野常は頭を掻きながら、混乱した様子だった。
父親を信じてはいたが、この件は不可解で、父の考えについていけない気がした。
矢野寿は目を落として、「朱里が今朝、動画を送ってきた。昨夜お前たちが霊木の谷で危険な目に遭った時の動画だ。それを見て、澤蘭子に対する我慢が限界に達した」と言った。
「粟から時機が来たと聞いて、共に反撃できると。だから、もう我慢しないことにした」