674 藤村慎一を殺す

岡本秋生は試すように口を開いた。「部長、この事件は証拠が不十分です。もう少し証拠を集めてから、有罪を確定したいと思います。」

「何を集める必要がある?ビデオ証拠があるじゃないか?他に何が必要なんだ?」吉田恭一は即座に問い詰めた。

彼の冷たく鋭い視線が岡本秋生に向けられ、岡本秋生は頭を下げ、部長との目を合わせる勇気がなかった。

原東は仕方なく首を振りながら言った。「この件はとっくに処理すべきだったと思います。逮捕した日に人的証拠も物的証拠もあり、呪術師も認めていたのに、二部がずっと抑えていて、私にもどうしようもありませんでした。」

「原東、お前!」岡本秋生は驚いた。原東が部長の前で自分の悪口を言うとは思わなかった。

部長の疑わしげな眼差しを感じ、岡本秋生の心臓が激しく打った。「部長、私はただ手順通りに進めたいだけです。この事件の真犯人を見つけるのは簡単ではありません。もし情報が漏れて真犯人が逃げてしまったら困ります。事件の機密性を考慮しているだけなんです。」