701 牢屋に入りたくない

彼女の息子は、絶対に彼女の支配から逃れることはできない。

矢野徹は口元に笑みを浮かべ、「それはあなたが私を見つけられればの話だ。明日にでも辞職して、誰も知らない場所に行くよ。どちらが長く持ちこたえられるか見てみようじゃないか。あなたが私より長生きすることを願うよ。そうでなければ、あなたが死んだら、私は東京に戻るからね」

親孝行を強制できる人がいるとでも思っているのか?

澤蘭子は下唇を強く噛みしめ、すぐに血が滲んだ。

長男は完全に制御不能になってしまった。

しかし、まだ次男がいる。

彼女は矢野常の方を向いて、「常、ママにはもうあなたしかいないの。今回だけママを助けてくれれば、これからはあなたの言うことを何でも聞くわ。誰と結婚したいのか、それもあなたの自由よ」

今一番重要なのは刑務所に入らないこと、他のことは何とかなる。