矢崎粟は小蛇を弄びながら、口を開いた。「洞窟の中でたくさんの霊石を見つけたわ。もちろん、あなたを助ける方法も分かったの。」
彼女は知っていた。先輩が彼女にこれほど協力してくれたのは、ただこのことのためだと。
先輩の願いを叶えてあげてもいいのではないか?
「詳しく聞かせてくれ!」
藤田川の瞳が光り、いつもの悠然とした表情にも緊張の色が浮かんだ。
矢崎粟は言った。「洞窟の壁にあなたの状況が記されていて、解決の秘術も書かれていたの。私はすべて覚えたわ。小林瑞貴の呪術を解いた後で、その秘術をあなたに教えるわ。秘術を習得すれば、あなたは自由になれるはず。」
その言葉を聞いて、藤田川は尋ねた。「妹よ、その方法は本当に成功すると確信しているのか?」
彼は知っていた。期待が大きければ大きいほど、失望も大きくなることを。
だから、自分に希望を持たせないほうが、失望の痛みを味わわなくて済むと。
矢崎粟は頷き、確信に満ちた表情で「もちろんよ。安心して、今度こそあなたはこの牢獄から出られるわ。その時は必ず東京に私を訪ねてきてね」と言った。
「ああ、今回は本当に偶然だな。ちょうど秘術を手に入れることができた」藤田川は頷きながら、深い思いを込めた目で見つめた。
彼の心には予感があった。この秘術は洞窟から得たものではないだろうと。しかし、矢崎粟が助けてくれる気持ちがあるなら、それを暴露するつもりはなかった。
矢崎粟に秘密があるなら、知らないふりをしよう!
今は古城から逃れ、自由な人間となって、外の様々な景色を見て回りたいだけだった。
いつか飽きるかもしれない。その時は、また別の場所を見つけて、今のように隠居生活を送るかもしれない。
しかし、それは後の話だ。
矢崎粟は茶目っ気たっぷりに笑って言った。「そうよね。きっと天も先輩を助けたいのよ。でも、私がこんなに大きな手助けをしたんだから、先輩はどうやって感謝してくれるの?」
彼女は知っていた。先輩は必ず彼女に良い報いをしてくれるはずだと。
これで背後の人物に対抗する時、強力な助っ人を得られる。
そうすれば、彼女の心にもより大きな自信が持てる。
藤田川は彼女を一瞥し、淡々と言った。「私が完全に自由になった日に、大きな贈り物を用意しよう。その時になれば分かる。」