矢崎粟も明らかに攻撃を感じ取った。
彼女は両手を素早く動かし、空中で朱砂筆を使って、無紙符を描いた。
傍らの藤田川は少し驚き、思わず小声で呟いた。「彼女が伝説の空中符を習得するなんて、この才能は…」
この空中符は、大円満境界に達してはじめて覚醒できる技能だった。
この技能により、玄学師は時空の制限を超え、敵に対して遠距離攻撃を仕掛けることができる。
藤田川も学んでいたが、ここ数年でようやく習得できたものだった。
しかし矢崎粟は、二十歳そこそこでこの技能を習得してしまった。
矢崎粟は数回で符を描き終え、攻撃位置を特定し、攻撃を仕掛けた。
赤炎の火!
紫色の光を放つ心火が大呪術師藤村敦史の胸元で咲き誇り、彼の体は意識よりも早く反応し、即座に指を伸ばして心臓の経穴を封じた。