740 古装で外出

藤田川は暇なときにショート動画を見ていたので、矢崎粟が言う普段着とは中華街の外で着る服のことだと分かっていた。

少し考えてから、「普段着は持っていないけど、中華街の外に買いに行くことはできる」と言った。

矢崎粟は首を振って、「いいわ、東京に着いてから買えばいいから。今から買いに行くのは面倒だわ。覚悟しておいてね、その古装束で、きっと多くの人の目を引くわよ」

藤田川は微笑んで、「大丈夫、慣れているから」と答えた。

彼の容姿なら、子供の頃から人に見られ続けてきたのだから。

普段着に着替えたとしても、やはり注目されるだろう。

矢崎粟は眉を上げ、突然思いついた。もし彼女が師兄と一緒に戻れば、堀首席はきっと慌てるだろう。

矢崎粟と藤田川が力を合わせれば、堀首席も警戒するはずだ。