730 神盗派

「お前たちは何者だ?」

矢崎粟たちが来るのを見て、三角眼の老道士の一人が冷たい目で言った。「ここは二つの派閥が戦っているところだ。死にたくなければ、さっさと消えろ!」

この男は天虚派の掌門である河野晃だった。

矢崎粟は彼の衣服の印を見て認識し、もう一方の集団を見た。

向かい側には、世間から蔑まれている神盗派の者たちがいた。

神盗派の者たちは右手に金色の鉤を結びつけており、金手派とも呼ばれ、盗みと物品の運搬を得意としていた。

盗品を処分するため、神盗派は国内に数千万のルートを開発し、海外のどこからでも盗品を裕福な地域へ移動させることができた。

天虚派と神盗派の対決。

面白いじゃないか。

矢崎粟は口角を上げ、笑いながら言った。「私たちはここの主人だ。なぜ来てはいけないの?」

「何が主人だ!ここは今や我々神盗派のものだ。分かるやつは早く立ち去れ。さもなければ、もう逃げられなくなるぞ」神盗派の掌門である鬼頭翼が言った。

鬼頭翼は太った顔に大きな耳を持ち、体格は非常に肥満だった。

矢崎粟の側にいた巡回員たちは全員拳を握りしめ、顔には怒りが満ちていた。

ここは小林家の開発区で、政府から認可された文書があるのに、どうして神盗派のものになるのか?

神盗派なんて、名前を聞いただけでろくなものじゃない!

見聞の広い澤田實は、目の前の人々が修行者である可能性に気付き、心中驚いて急いで矢崎粟の前に進み出て、小声で言った。「矢崎さん、この連中とは関わらない方がいい。私たち巡回員は戦闘力が高いとはいえ、修行者には敵わない。一旦引き返して、じっくり対策を考えましょう」

彼は怖気づいたわけではない。

もし彼一人がここにいたのなら、何の問題もない。

しかし今は、多くの仲間たちと、小林社長の姪も一緒にいる。

もし何か起これば、彼には責任が取れない。

矢崎粟は何も言わなかった。

天虚派の河野晃は凶光を放ち、矢崎粟の美しい顔を見つめて、「お前たちは行ってもいいが、この女は置いていけ。気に入った」と言った。

そう言いながら、彼は色めいた目つきを見せた。

彼はまだ五十歳で、まさに壮年期、しかも一派の門主だ。この外見だけが取り柄の女など、一晩を共にするのがお似合いだ。